- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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執行猶予はいつ切れるか

刑事裁判で刑が言い渡されるとき「執行猶予」が付くことがあります。
執行猶予とは、刑は言い渡すけれども、情状により一定期間その執行を猶予するものです。
(刑法25条1項.)
裁判所ウェブサイトではこう説明しています。
「例えば,裁判で懲役1年の実刑が言い渡され,それが確定すると,懲役1年の刑が直ちに執行されることになり,被告人は刑務所で定役に服さなければなりません。ところが,懲役の刑に執行猶予が付いている場合には,裁判が確定しても,被告人は直ちに刑務所に入れられてしまうということにはなりません。」
「執行猶予に付された人が再び罪を犯したりすることなく,その猶予の期間を無事に過ごしたときは,刑の言渡しそのものが効力を失い,将来まったくその刑の執行を受けることがなくなります。」
http://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_keizi/qa_keizi_28.html

対して、猶予の期間を無事に過ごさなかった場合。
例えば、
(1)被告人を懲役1年に処する
(2)5年間その刑の執行を猶予する
との言渡しがあったとして。
「猶予する」(=実行の延期を認める)わけなので、刑の執行はまだ実行されないところ、その猶予の期間中に再び犯罪を犯すなどして、(2)の刑の執行猶予の言渡しが取消しとなれば、(1)の「被告人を懲役1年に処する」のみが残ります。
となれば、
「懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。」(刑法12条2項.)
「裁判は、...確定した後これを執行する。」(刑事訴訟法471条.)
わけですから、その懲役刑が現実に執行される(=刑務所行き)ことになるわけです。


では、いつになったら猶予の期間を無事に過ごしたと言えるのでしょうか。
それは、裁判で言い渡された執行猶予期間が満了し、その翌日になればいいわけです。
具体的な例で見ますと、
「平成18年1月20日」に
「被告人を懲役1年に処する。この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。」
との判決が言い渡されたとします。
上訴するかどうか検討し考えるための期間(上訴提起期間)を判決翌日から14日間数えると、
「平成18年1月21日から平成18年2月3日」が上訴提起期間となり、その満了日(末日)を経過した
「平成18年2月4日」に裁判が確定します。
そこから裁判所が判決で示した期間であるところの5年間を数えると、
「平成18年2月4日から平成23年2月3日」が執行猶予期間となりますから、その満了日(末日)を経過した
「平成23年2月4日」を迎えれば、執行猶予期間が終わった、執行猶予が切れたと言えるわけです。

暦で言えば、平成18年大寒(1月20日)に5年間執行猶予判決をもらったら、平成23年立春(2月4日)に執行猶予が切れるということになりますね。

なお「裁判が確定した日から」執行猶予期間をカウントするのはどの裁判でも同じです。
執行猶予期間については、最長5年間であり、年単位で「2年」「3年」「4年」「5年」のうちから定められるのが通例となっています。
 
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# by yoridocoro | 2011-01-16 11:40 | 法律雑学

基準値の表現

数量を基準として、ものごとを表現することがあります。
でも。世の中には
「100〜200:a
 200〜300:b」
とか、
「200以上と以下では異なる」
など、200ちょうどはどっちなのか疑問な表現もあったりして。
きちんと、どこが境目かを意識して表現したいものです。

法令では、
「以上」「以下」などの「以」は、基準値を含む趣旨で使われます。(「以」は、たずさえる、ひいて、ひきいる意を表しています。(角川新字源.))
ということは、「以上」と「以下」とでは組み合わせがしづらい。
「100万円以上200万円以下」というカテゴリにしてしまっては、つぎに
「200万円以上〜」と「以上」が使えないからです。(基準点がダブってしまう)

実際の定めでは
「200万円を超え300万円以下の金額」
「300万円を超え400万円以下の金額」
(相続税法21条の7.)
や、
「児童(6歳以上13歳未満の者をいう。)」
(道路交通法14条3項.)
などの定めかたとなります。
「超え」と「以下」の組み合わせ、
「以上」と「未満」の組み合わせですね。

また、
『「少年」とは、20歳に満たない者をいい、「成人」とは、満20歳以上の者をいう。』
(少年法2条1項.)
のように「満たない」などの語も使われます。

基準となる数値が含まれるのか、含まれないのかは重要なところ。しっかり分けたいですね。
 
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# by yoridocoro | 2011-01-13 08:03 | 法律雑学

裁判官らの定年2

先の記事で、裁判官・検察官らの定年について書きました。
もう少し比較してみます。

裁判官は、最高裁と簡裁だけが70歳定年で、ほかは65歳。
検察官は、検察庁トップの検事総長ひとりだけが65歳で、ほかは63歳。
ということでした。

対して、一般の国家公務員について見ると、原則的に60歳定年ですね。
「...定年は、年齢60年とする。」
(国家公務員法81条の2第2項.)
http://bit.ly/1dAwKrf
とあります。


さて。一般の国家公務員と裁判官・検察官らとの違いは、定年年齢の定めだけではありません。
退職(退官)する時季も異なるのです。
原則、一般の国家公務員は
「職員は...定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日...に退職する。」
こととなっています。
(国家公務員法81条の2第1項.)
4月始まりの年度でいえば、その終わりのタイミングでの退職になりますね。定年年齢である60歳になった年度の最終日における退職です。

では、裁判官・検察官らはどうかというと、先の記事で書きましたように
「年齢(が)○○年に達した時に退官する。」
となっています。
これは、○○年(○○歳)になったら終わりですということ。「3月31日」のような一定の日付はありません。
そして、人が○○歳になるのは、【生まれてから○○年後の誕生日の前日の終了(午後12時)をもって】です。
(詳しくは http://yoridocoro.exblog.jp/10989053/ をご覧ください)

最高裁判事なら、70回目の誕生日の前日が終わるタイミングで退官になりますね。
例えば、1940年(昭和15年)4月6日生まれの藤田宙靖最高裁判事は、2010年(平成22年)4月5日付けで定年退官されました。
年度の途中であろうと、そこでスパッと退官になるわけです。
このことを「誕生日の前日限り」で退官、と表現されたりします。
 
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# by yoridocoro | 2010-11-29 00:29 | 法律雑学

裁判官らの定年

任期中の最高裁判事が66歳で死去されたとのことです。
66歳で現職。ということは、最高裁判事はいつまで勤められるのでしょうか。

結論をいうと、最高裁判事は70歳が定年です。
法は
「最高裁判所の裁判官は、年齢70年、
 高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、年齢65年、
 簡易裁判所の裁判官は、年齢70年
に達した時に退官する。」
としています。
(裁判所法50条.)
http://bit.ly/1dAnXFU

最高裁判所の裁判官は、
「識見の高い、法律の素養のある年齢40年以上の者の中からこれを任命」
するとして、もともと最低年齢について定められていますが(裁判所法41条1項.)、
高等裁判所長官や、高等検察庁検事長、弁護士会会長、内閣法制局長官、大使(外交官)などを経験されてくる方が多いですから、どうしても年齢層は高くなってしまいますね。


では、ほかの職についてはどうでしょうか。
検察官の場合は、こうなっています。
「検事総長は、年齢が65年に達した時に、
 その他の検察官は年齢が63年に達した時に
退官する。」
(検察庁法22条.)
http://bit.ly/1dAoqb1
微妙に裁判官とは違うようです。

弁護士の場合は、定年はありません。
資格をもつ自由業であり、
気力・体力が続く限り現役が続けられると言ってよいでしょう。
(ただ、事務所など所属する個々の組織での定年はあるかもしれません)


退くそのときまでは、充実した仕事がしたいものです。
 
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# by yoridocoro | 2010-11-23 08:19 | 法律雑学

自首のタイミング

自首、つまり、罪を犯した者が捜査機関に自分の犯罪事実について申告して、処分をゆだねることがあります。
では、その申告のタイミングについてはどうなっているのでしょうか。

法は
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
としています。(刑法42条1項.)
もう捜査機関から取調べを受けていて、取調べ中に「私がやりました。」と言っても、それは自供、自白したというにとどまり、自首をしたということにはならないわけです。

このタイミングについては、最高裁判例があります。
判例は
『刑法第42条第1項の「未タ官に発覚セサル前」とは犯罪の事実が全く官に発覚しない場合は勿論犯罪の事実は発覚していても犯人の何人たるかが発覚していない場合をも包含する』
として、
捜査機関において犯罪事実が判っていても犯人が誰か判っていない場合の申告について、自首になるとしています。
(昭和24.5.14最高裁判決.)

また、判決は続けて
『犯罪事実及び犯人の何人なるかが官に判明しているが犯人の所在だけが判明しない場合を包含しないものと解すべき』としています。
つまり、捕まっていない状態から自ら出頭して捕まえてもらったとしても、それがすべて自首になるわけではないのですね。
捜査機関はあいつが犯ったんだと追い、犯人は追われながらも逃走を続け。。という場合、テレビドラマ的には「自首して!」などという言葉も出てきますが、この状態は、すでに、刑法42条1項にいう「自首」ができる場合ではなくなっているのです。
 
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# by yoridocoro | 2010-11-21 18:27 | 法律雑学

最高検は起訴できない

この記事は、2010年10月10日に書いています。

「最高検は...大阪地裁に起訴する方針を固めた。」との報道があります。
起訴(公訴の提起)は、検察庁の検察官が裁判所に対して刑事事件につき審理するよう求めるものですが、実は最高検は起訴できないのです。
起訴する場合、大阪地裁には大阪地検検察官が起訴することになります。

---
法は
「最高検察庁は、最高裁判所に」「地方検察庁は、各地方裁判所に...それぞれ対応してこれを置く。」と定めています。
(検察庁法2条1項.)
そして、各裁判所には、管轄というそれぞれの受け持ちがあるわけです。
例えば最高裁判所は、第三審である上告審を受け持ちます。

そして、判例はこういっています。
「公訴は検察官がこれを行うものではあるが(刑事訴訟法第247条)、検察官はいずれかの検察庁に属しその属する検察庁に対応する裁判所の管轄区域内においてその裁判所の管轄に属する事項について刑事につき公訴を行...うのであって(検察庁法第5条第4条)」「福岡区検察庁検察官は福岡簡易裁判所に公訴を行うのであって福岡地方裁判所に公訴を提起することはできないのである。換言すれば福岡地方裁判所に公訴提起することのできるのは福岡地方検察庁検察官でなければならない」
(昭和33.9.13福岡地裁判決.)

ということで。大阪地方裁判所に起訴することのできるのは、大阪地方検察庁検察官だけなのです。
もし、もしも大阪地方裁判所に最高検察庁検察官から起訴したら、公訴提起の手続がその規定に違反したため無効ということで、公訴棄却の判決を受けることになってしまいます。
(刑事訴訟法338条4号.)


なお、最高検察庁が最高裁判所に対応するものだとしたら、最高検察庁が捜査するのはいいのだろうかという疑問がわきますが、法は
「検察官は、いかなる犯罪についても捜査をすることができる。」と定めています。
(検察庁法6条.)
そのため、捜査に関しては、管轄の制限はかかってこないのです。
 
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# by yoridocoro | 2010-10-10 09:38 | 法律雑学

事件はいつ確定するか(2)

ここでは刑事事件について述べます。

「最高裁が上告棄却 確定へ」などという報道を見かけます。
「確定へ」ということは、その時点でまだ確定していないということです。
日本は三審制です。刑事事件の場合、第二審の控訴審は高等裁判所(=高裁)で、第三審の上告審は最高裁判所(=最高裁)で審理されます。
ですので、最高裁は最終審理をするところですが、最高裁の上告棄却決定が出てもまだ確定ではないとすると、事件はいつ確定するのでしょうか。

上告棄却決定に対しては、その裁判をした裁判所である最高裁に、異議の申立てをすることができます。
判例は
「刑訴414条、386条1項3号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同414条、386条2項により異議の申立をなすことができる」としています。
(昭和30.2.23最高裁大法廷決定.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54758&hanreiKbn=02
そして、この申立てについては即時抗告の規定が準用されますので、申立て期間は3日です。
(刑事訴訟法422条.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html
日数計算については、上告棄却決定謄本が送達された(=裁判が告知された)翌日を1日目とする数え方です。
(刑事訴訟法55条1項により初日不参入.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

(なお、最高裁が上告を棄却する場合、ほとんどは公判廷が開かれませんから、ある日、郵便で裁判所からの特別送達が届いてその結果を知る、という形になります。
マスコミ報道などが出てくるのも、この郵便で結果が届けられた後のことです。)

上告棄却決定が送達された翌日から起算して(=数え始めて)3日のうちは異議申立てができるということは、その3日のうちは「裁判内容はもしかしたら変わるかもしれない」わけです。
(異議申立てがあれば最高裁はそれにつき再び判断するのだし、異議申立てがまだない状態でもその3日のうちは「異議申立てがこれからある」かもしれない)
異議申立てがないままならば、3日という異議申立て期間が経過することで裁判は確定します。

では、異議申立てがあった場合はどうでしょうか。
異議申立てに対する決定も、やはり郵便で送達(告知)されますが、その送達された日に確定することになります。
「異議申立てに対する決定」に対して、再び上訴や異議申立てはできませんから、そこが終わりになるわけです。
(刑事訴訟法427条により再抗告禁止.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

鈴木宗男議員に対する受託収賄等被告事件を例に、具体的に見ますと次のようになります。
(平成22年)
9月 7日 最高裁が上告棄却決定
9月 8日 上告棄却決定謄本が送達(告知)
9月10日 弁護人が上告棄却決定に対する異議申立て
9月15日 最高裁が異議申立て棄却決定
9月16日 異議申立て棄却決定謄本が送達(告知)、裁判確定

ということで、最高裁が上告棄却したと判る9月8日の時点では確定していないのでした。
 
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# by yoridocoro | 2010-10-03 12:30 | 法律雑学