- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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最高検は起訴できない

この記事は、2010年10月10日に書いています。

「最高検は...大阪地裁に起訴する方針を固めた。」との報道があります。
起訴(公訴の提起)は、検察庁の検察官が裁判所に対して刑事事件につき審理するよう求めるものですが、実は最高検は起訴できないのです。
起訴する場合、大阪地裁には大阪地検検察官が起訴することになります。

---
法は
「最高検察庁は、最高裁判所に」「地方検察庁は、各地方裁判所に...それぞれ対応してこれを置く。」と定めています。
(検察庁法2条1項.)
そして、各裁判所には、管轄というそれぞれの受け持ちがあるわけです。
例えば最高裁判所は、第三審である上告審を受け持ちます。

そして、判例はこういっています。
「公訴は検察官がこれを行うものではあるが(刑事訴訟法第247条)、検察官はいずれかの検察庁に属しその属する検察庁に対応する裁判所の管轄区域内においてその裁判所の管轄に属する事項について刑事につき公訴を行...うのであって(検察庁法第5条第4条)」「福岡区検察庁検察官は福岡簡易裁判所に公訴を行うのであって福岡地方裁判所に公訴を提起することはできないのである。換言すれば福岡地方裁判所に公訴提起することのできるのは福岡地方検察庁検察官でなければならない」
(昭和33.9.13福岡地裁判決.)

ということで。大阪地方裁判所に起訴することのできるのは、大阪地方検察庁検察官だけなのです。
もし、もしも大阪地方裁判所に最高検察庁検察官から起訴したら、公訴提起の手続がその規定に違反したため無効ということで、公訴棄却の判決を受けることになってしまいます。
(刑事訴訟法338条4号.)


なお、最高検察庁が最高裁判所に対応するものだとしたら、最高検察庁が捜査するのはいいのだろうかという疑問がわきますが、法は
「検察官は、いかなる犯罪についても捜査をすることができる。」と定めています。
(検察庁法6条.)
そのため、捜査に関しては、管轄の制限はかかってこないのです。
 
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by yoridocoro | 2010-10-10 09:38 | 法律雑学

事件はいつ確定するか(2)

ここでは刑事事件について述べます。

「最高裁が上告棄却 確定へ」などという報道を見かけます。
「確定へ」ということは、その時点でまだ確定していないということです。
日本は三審制です。刑事事件の場合、第二審の控訴審は高等裁判所(=高裁)で、第三審の上告審は最高裁判所(=最高裁)で審理されます。
ですので、最高裁は最終審理をするところですが、最高裁の上告棄却決定が出てもまだ確定ではないとすると、事件はいつ確定するのでしょうか。

上告棄却決定に対しては、その裁判をした裁判所である最高裁に、異議の申立てをすることができます。
判例は
「刑訴414条、386条1項3号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同414条、386条2項により異議の申立をなすことができる」としています。
(昭和30.2.23最高裁大法廷決定.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54758&hanreiKbn=02
そして、この申立てについては即時抗告の規定が準用されますので、申立て期間は3日です。
(刑事訴訟法422条.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html
日数計算については、上告棄却決定謄本が送達された(=裁判が告知された)翌日を1日目とする数え方です。
(刑事訴訟法55条1項により初日不参入.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

(なお、最高裁が上告を棄却する場合、ほとんどは公判廷が開かれませんから、ある日、郵便で裁判所からの特別送達が届いてその結果を知る、という形になります。
マスコミ報道などが出てくるのも、この郵便で結果が届けられた後のことです。)

上告棄却決定が送達された翌日から起算して(=数え始めて)3日のうちは異議申立てができるということは、その3日のうちは「裁判内容はもしかしたら変わるかもしれない」わけです。
(異議申立てがあれば最高裁はそれにつき再び判断するのだし、異議申立てがまだない状態でもその3日のうちは「異議申立てがこれからある」かもしれない)
異議申立てがないままならば、3日という異議申立て期間が経過することで裁判は確定します。

では、異議申立てがあった場合はどうでしょうか。
異議申立てに対する決定も、やはり郵便で送達(告知)されますが、その送達された日に確定することになります。
「異議申立てに対する決定」に対して、再び上訴や異議申立てはできませんから、そこが終わりになるわけです。
(刑事訴訟法427条により再抗告禁止.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

鈴木宗男議員に対する受託収賄等被告事件を例に、具体的に見ますと次のようになります。
(平成22年)
9月 7日 最高裁が上告棄却決定
9月 8日 上告棄却決定謄本が送達(告知)
9月10日 弁護人が上告棄却決定に対する異議申立て
9月15日 最高裁が異議申立て棄却決定
9月16日 異議申立て棄却決定謄本が送達(告知)、裁判確定

ということで、最高裁が上告棄却したと判る9月8日の時点では確定していないのでした。
 
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by yoridocoro | 2010-10-03 12:30 | 法律雑学