- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
カテゴリ
法律雑学
雑学
以前の記事
2016年 08月
2015年 09月
2015年 06月
2014年 09月
2014年 04月
2013年 09月
2013年 07月
2013年 05月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 06月
2012年 05月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 07月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
お気に入りブログ
学術系ブログの情報サイト
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2010年 05月 ( 2 )   > この月の画像一覧

上映会と著作権法(3)

個人が市販の映画DVDを使って上映会をする話の続きです。

国はどう見ているのでしょうか。

---
平成15年1月24日、文部科学省設置の文化審議会で、著作権分科会 審議経過報告が取りまとめられました。
そこでは、図書館などの公共施設等において映画の著作物等を上映することについて、こう述べられています。

「現行の著作権法第38条第1項では,著作物を非営利・無料・無報酬で上映することについては許諾が不要とされている。
しかしながら,ビデオ・DVD等の普及・発達により,誰もが簡単に非営利・無料・無報酬の上映を行うことができるようになったことから,図書館などの公共施設等で行われる非営利・無料・無報酬の上映が商業的な映画上映等と競合し,権利者の利益を不当に害する状況が出現しているとの指摘がある。
また,この規定については,ベルヌ条約上の義務との関係から問題があると内外の関係者から指摘されており,非営利・無料・無報酬の上映に係る権利制限については,こうした問題に対応する観点から,その対象となる行為の範囲を見直すことが必要であると思われる。」
「なお,図書館などの公共施設等における非営利・無料・無報酬の上映については,法改正後においても商業的な映画上映等と競合しない範囲で,権利者の許諾を得た上で,できる限り行い得るようにすることが望まれる。」
(文化審議会著作権分科会審議経過報告 第1章・II・3・(2))
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/030102b.htm

---
また、上記報告を受けて、経済産業省からも著作権法改正要望が提出されています。
そこでは、こう述べられています。

「公共図書館等による「上映会」「映画鑑賞会」が増加し、個人観賞用のビデオが利用されているケースが多く見受けられるようになった。」
「しかも、これらの「上映会」等は、それに用いられる上映機器・設備の飛躍的向上により、商業的興行と比較しても遜色ない高画質・高音質のものになってきている。
 これにより、非営利目的・無償の「公の上映」といえども、現行法制定当初に予想された範囲を超えて、著作権者の経済的利益に無視できない影響を与えるようになってきている。」
「上記のように、著作権法第38条第1項は、「公の上映」については著作権者の正当な権利を制限する程度が大きくなってきたことから、事前に権利者から許諾を受けて「公の上映」が行われるシステムを築き、権利者の正当な利益を確保する必要がある。」
(文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第5回)資料3)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/03120201/004/011.pdf

---
上記はいずれも平成15年時点でのものですが、この著作権法38条1項については、平成22年5月現在でもまったく同じ文言のままです。改正は行われていません。

結局、国サイドとしては、
市販の個人鑑賞用ビデオを利用しての上映会は、
非営利・無料・無報酬で上映することについては許諾不要、
しかし著作権者の権利を制限する程度が大きくなってきた(著作権者にただ我慢しろというのは酷になってきた)、という見解なようですね。
 
[PR]
by yoridocoro | 2010-05-23 21:09 | 法律雑学

上映会と著作権法(2)

個人が市販の映画DVDを使って上映会をする話の続きです。

著作物である映画についても、
「非営利」「対価の料金徴収なし」「実演家に報酬なし」の3要件が満たされていれば、
上映の許諾なしで公に上映できる(著作権法38条1項.)ことを前に述べました。

では、上映するときに用いるソフトが市販DVDであることに問題はないのでしょうか。

---
まず、手元にある別なDVDのパッケージを見てみます。
「このDVDは、一般家庭内における私的再生に用途を限って販売されています。従って有償・無償に拘らず、権利者の書面による事前の承認を得ず、...上映等を行うことを禁止致します。」
とあります。
著作権者としては、事前承認なしで公に上映することは禁止、という意思であるようです。

次に、日本国際映画著作権協会のサイトをもう一度見てみます。
「一般に市販されているDVDやブルーレイ・ディスク等の映画のソフト...は、家庭内視聴を目的に「頒布」...されています。これらの映画ソフトを家庭内視聴以外の目的で使用することは、権利者である映画会社が認めておりません。」
「一般市販の映画ソフト等を権利者に無断で上映する行為は、著作権法第22条の2に定められている権利者の「上映権」を侵害する無断上映=違法行為です。」
http://jimca.co.jp/compliance/index.html

ふむ。権利者が認めていない、と。権利者がそのような意思であることはわかります。
しかし、前回記事で述べましたように、著作権法38条は、
「公表された著作物」は、(〜の場合には)公に上映することができる、
という条文です。
著作権者が持つ権利(上映権)を制約(制限)して、つまり権利を持っている人に我慢してもらって、公に上映することを例外的にOKとしているわけです。
とすると、要件が満たされている場合(例外的に上映OKとなる場合)は、権利者の意思は関係ないことになります。法が、(その例外の場合には)上映権の出る幕ではないと言っているのですからね。

---
著作権法ではOKだとしても、権利者がそのDVDの利用を認めていないという点が気になるかもしれません。
例えば、当事者双方が納得して一定の取扱いを決めこれを約束したならば、それは契約ですから、守られるべきことです。
しかし、私について言えば、市販DVDソフトの購入にあたり権利者側から取扱いはこうしたいと説明を受けたことはないですし、取扱いについて約束したこともありません。
契約は、複数当事者が合意することで権利や義務を作り出すものですから、双方の合意がないことには契約はなされていないといえるでしょう。

市販DVDの商品パッケージには確かに権利者の意思の記載はあります。
しかし、購入者が権利者の意思に沿った行動を取るかどうかは、購入者自身が決めることでしょう。
そういえば。最近読んだある本には、「本書の内容の一部あるいはすべてを無断で複写・複製・転載することを禁じます。」とありました。
この本について「より理解するため、本の一部をコピーしてマーカーを引きながら深く読み込む」とか「練習のため、あるイラストを手書きにより模写する」などの行為は、複製に当たりますが、私だったら権利者に無断で行います。購入者自身が決めることだと思うからです。
[PR]
by yoridocoro | 2010-05-17 07:58 | 法律雑学