- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
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<   2010年 04月 ( 2 )   > この月の画像一覧

上映会と、著作権法38条1項

個人が、市販されている映画DVDを使って上映会をすることがあります。
著作権の問題はないのでしょうか。

---
まず、手元にある映画DVDのパッケージを見てみます。
「このディスクを無断で...上映...することは法律により禁じられています。」
とあります。
とはいっても、「上映」は、
「映写幕その他の物に映写すること」(著作権法2条1項17号.)
であり、スクリーンやディスプレイ上に映し出す行為ですから、上映しないとDVDの中身を見ることができません(^^;

この注意書きでの「上映」は「公に上映」すること、つまり「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」(著作権法22条を参照.)の上映を指しているのでしょうね。
著作者は、その著作物を公に上映する権利を持ちます。(上映権。著作権法22条の2.)
その、公衆に見せるため映し出す行為にOKを出すか出さないかを決められるということです。
「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。」(著作権法63条1項.)

家庭内視聴や、数人の友人を招いての私的な上映会は、「公に上映」するものではありませんから、上映権を侵害することはありません。
市販される映画DVDの本来の目的にも合うものでしょう。
著作権者にOKかどうかを聞く必要はありません。

---
では、不特定多数、あるいは特定多数の人々を集めて上映会をするときはどうでしょうか。
こちらは「公に上映」するわけですから、原則として著作権者の許諾を得て行うことになります。

日本国際映画著作権協会のサイトでは
「著作権者に無断で営利目的で映画を公に上映する行為は、無断上映に当たり、違法行為となります。」と太字で掲載されています。
http://www.jimca.co.jp/compliance/index.html
「無断で」の後に言葉がありますね。「営利目的で」とあります。
そうしたら営利目的でない場合はどうなのか、という話になります。

著作権法はこう定めています。
「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」
(著作権法38条1項.)

上映会に関する部分をとらえ直してみます。
『公表された著作物(である映画)は、
・営利を目的とせず
かつ
・観衆から料金を受けず
(=名義を問わず、映画の提示についての対価(映画を観せることの対価)を受け取らない)
かつ
・その上映会の出演者などに報酬が支払われない
場合には、
公に上映することができる』
ということになります。

先に、「公に上映」する場合は、原則として許諾が要る旨を述べました。
対して、上記の要件を満たしたものは、その例外として、公に上映することができるわけです。
つまり、著作権者にOKかどうかを聞く必要はありません。
著作権法38条は、著作権を制約して、著作物の利用にかかる公益を優先させる場合を定めているのです。

専門書でも、
「公表された著作物を公に上演し,演奏し,上映しあるいは口述しようとするとき,営利を目的とせず,視聴者から入場料等の対価が徴収されず,かつ,利用行為の主体である実演家なり口述者に報酬が支払われない場合には,著作権者に無許諾・無償で,その著作物の上演等を行うことができる.」
(半田正夫・松田政行編『著作権法コンメンタール2』298頁.(頸草書房、2009))
として、無許諾で利用可能としています。
 
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by yoridocoro | 2010-04-18 18:24 | 法律雑学

アルコール1%超で「お酒」でないもの

お酒の話をもう少し。

概略、
「酒類」とは、アルコール分一度以上(1%以上)の飲料をいう
わけです。
そのため、先に挙げた
・ヤクルト「タフマン」(清涼飲料水で、アルコール分0.9%)
・エーザイ「チョコラBBローヤル2」(医薬部外品で、アルコール分0.98%以下)
などは、アルコールが含まれていますが、酒類ではありません。

ここで、薬局に並ぶドリンク剤をじっくり眺めていますと、気付くことがあります。
アルコール分が1%を超えるものがあるのです。
実例を見てみますと、
・サトウ製薬「ユンケル黄帝液」は、第2類医薬品ですが、アルコール分3.0%以下(1瓶30mL中アルコール0.9mL以下)が含まれています。
http://www.kenko.com/product/item/itm_8931324072.html
これは酒類なのでしょうか。

結論から言えば、酒類ではありません。
そのわけは、国税庁通達にあります。
通達は、アルコール含有医薬品の取扱いとして、
「ホルモン剤(坑ホルモン剤を含む。)、ビタミン剤、滋養強壮薬その他の代謝性医薬品」のうち
・1容器の容量が20ミリリットル以下のもの
・1容器の容量が20ミリリットルを超え100ミリリットル以下のもので、かつ、アルコール分が3度以下のもの
については、強いて酒類には該当しないことに取り扱う、としています。
(国税庁・酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達、酒税法2条1項関係)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sake/2-01.htm#a-05

つまり、こういうのは酒税法でいう「酒類」とは見ないよ、ということですね。

おそらく、医薬品だということと、容量の少なさから、度数の制限を緩和しているのでしょう。
実際のところ、
タフマン 110mL×0.9%=0.99mL
ユンケル  30mL×3.0%=0.9mL
で、清涼飲料水のタフマンの方が摂取するアルコール量は多かったりするのです。
 
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by yoridocoro | 2010-04-11 02:55 | 法律雑学