- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
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同じ戸籍に同じ名前はあり? 2

戸籍の話をもう少ししてみます。

先に、忙しい人のための要点。
・「同一戸籍内の者と同一の名で命名することは原則できませんが、すでに亡くなっているなど除籍されている(戸籍に×がついて消されている)人については例外で、その人と同じ名をつけることができます」

---
前回の記事で、子の名は「同一戸籍内の者と同一の名をつけることはできない」と説明しました。
では、どういう名ならつけられるかという方向からもう一度考えてみましょう。


1) 同一戸籍内の者でなければよい
例えば、家族でも祖父母の名と同じ名をつけることは可能です。
戸籍は、3代の者が一緒の戸籍に入ることはありません。
結婚すればそのときに、また結婚しなくても未婚の母として子を出生したときに、自分の親の戸籍からは除かれる(出て行く)ことになり、自分と配偶者、又は自分とその子の戸籍が新しく作られます。
なので、生まれた子からすれば、その祖父母は同一戸籍内の者ではないわけです。つまり、祖父母と同じ名をつけることができます。
実例として、秋篠宮紀子さまは、父方のお祖母さま「紀子」と表記上同じ名でいらっしゃいます。


2) 同一の名でなければよい
当たり前といえば当たり前のことですが(^^;
例えば、「真美」と「真実」、「一郎」と「一朗」などは、異なる字で構成された名ですから、同一の名ではありません。親が「一郎」で、その子に「一朗」と名をつけることは可能です。
異なる字なら、読み方が全く同じでも同じ名にはなりません。
読み方については、出生届に「よみかた欄」自体はありますが、それは住民票関係の事務処理で使うだけです。
戸籍では「名の読み方」は届出事項ではないですし、現在、戸籍に名の読み方が記載されるわけでもないのです。なので、読み方で審査されることはありません。

外国では子が親と同じ名というのもポピュラーなようですが、日本では先に述べたとおり制約があります。
ただ、例えば「一郎」の子に「一郎ジュニア」と名をつけたら、(漢字部分は同じですが)「一郎」と「一郎ジュニア」は異なる字で構成された違う名ですから、先の制約はありません。
(余談ですが「一郎Jr.」と名をつけることはできません。日本では子の名に使える文字にアルファベットは入っていませんから.)


3) 同一戸籍内でも、すでに亡くなっているなど除籍されている者であればよい
同一戸籍内の者でも、同じ名をつけられる場合があります。すでに亡くなっているなど除籍されている(戸籍に×がついて消されている)人については例外で、その人と同じ名をつけることができるのです。

戸籍先例では、死亡、婚姻等による除籍の場合に「出生子が入るべき戸籍中すでに除籍となっている者と同名の出生届」について「受理してさしつかえない」としています。
(昭和47年8月23日民事二発第420号 法務省民事局第二課長回答.)

実例として、昭和初期の日米野球の主将であった久慈次郎捕手と、その四男の方は同じ名でいらっしゃるそうです。(同捕手が死球で亡くなったとき、四男の方は母のお腹の中)
また、子が幼くして夭逝(ようせい)したときに、その後に生まれた子(弟・妹)に、夭逝した子と同じ名をつける例もあると聞きます。


名は、それぞれに思いがあるのでしょうね。大切にしたいものです。
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by yoridocoro | 2009-06-29 00:19 | 法律雑学

同じ戸籍に同じ名前はあり?

R25の記事「子どもの名前、どうつけてるの?[前編]」
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/report/?id=20090608-90007071-r25
を読みました。更にもう少し調べてみます。

先に、忙しい人のための要点。
・R25記事に「同一戸籍内に同じ名前を登録するのは禁止されています」とありますが、これは、生まれた子の名付けには一定の制約があるという話であり、同じ名前の恋人とは結婚できないという意味ではありません。

---
R25記事に「例えば、父親が『陽(アキラ)』で子どもが『陽(ヨウ)』など名前の漢字が同じであれば、読みが異なっても受理されません」とありました。そのとおりです。

生まれた子は、出生届により親の戸籍に入ることになります。
子の名に使える文字は法令で定められていますが、ほかに、法令では定められていない制約もあります。
「同一戸籍内の者と同一の名をつけることはできない」もそうですね。

戸籍先例では、「同一戸籍内に於て他の家族と同一の名を附したる出生届」について「受理せざるを相当」としています。
(昭和10年10月5日民事甲第1169号 司法省民事局長回答.)

また、判例は、「名はその人を特定する公の称呼であるから、いかなる名が付けられるかについては本人自身はもちろん世人は利害関係をもっている。したがって、難解、卑猥(ひわい)使用の著しい不便、特定(識別)の困難などの名は命名することができないものと解す」と述べた上、
妻「伸子」との間に生まれた長女に「伸子」(『しんこ』とのふりがな付き)と名付けた出生届について、
「『伸子』(しんこ)と『伸子』とはまぎらわしい名であって世人が同一戸籍内の『伸子』なる者から『伸子』(しんこ)を識別すること、すなわち『伸子』(しんこ)を特定することは困難である」
「本件出生届は、名の特定の困難な命名として、戸籍法に反する違法な届出と云うべきである」とし、やはり同一戸籍内の者と同一の名を子につけることを認めませんでした。
(昭和38年11月9日名古屋高等裁判所決定.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=23041&hanreiKbn=04
(裁判所ウェブサイトでは具体的な名を表記していません)

ここで、先の記事中の「同一戸籍内に同じ名前を登録するのは禁止されています」は、ちょっと誤解を招きそうです。同姓同名夫婦になりそうなときどうなるのか、と。

ただ、掲げた先例や判例はいずれも「出生届」に関してのものですので、それとは別な状況のとき、例えば結婚や養子縁組で同じ戸籍に入るときなどは関係がありません。
ですから
・自分  と同じ名の人と婚姻する(例:夫となる人と妻となる人が同じ名前(歩・薫・望・真琴など))
・自分の子と同じ名の人と婚姻する(例:自分に子がいるとき、その子と自分の再婚相手が同じ名前)
・自分と同じ名の人と養子縁組する(例:再婚し相手の連れ子を自分の養子にするとき、自分とその連れ子が同じ名前)
などの場合、それぞれ同一戸籍内に同姓同名の人が出現することになりますが、問題なくそのまま戸籍に記載されます。

これらは、変な風に名をつけたのではなく、出会った人の下の名前が偶然自分たちと同じというだけです。日本では、同じ名だからといって交際・結婚などができないわけではありません。
同じ名は、同じ戸籍に入ることで同姓同名になってしまいますが、これは、夫婦同氏の原則等によりそうなるのですから、同一戸籍内の同姓同名もあり得ることなのです。

 
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by yoridocoro | 2009-06-18 01:37 | 法律雑学