- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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カテゴリ:法律雑学( 57 )

裁判官らの定年

任期中の最高裁判事が66歳で死去されたとのことです。
66歳で現職。ということは、最高裁判事はいつまで勤められるのでしょうか。

結論をいうと、最高裁判事は70歳が定年です。
法は
「最高裁判所の裁判官は、年齢70年、
 高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、年齢65年、
 簡易裁判所の裁判官は、年齢70年
に達した時に退官する。」
としています。
(裁判所法50条.)
http://bit.ly/1dAnXFU

最高裁判所の裁判官は、
「識見の高い、法律の素養のある年齢40年以上の者の中からこれを任命」
するとして、もともと最低年齢について定められていますが(裁判所法41条1項.)、
高等裁判所長官や、高等検察庁検事長、弁護士会会長、内閣法制局長官、大使(外交官)などを経験されてくる方が多いですから、どうしても年齢層は高くなってしまいますね。


では、ほかの職についてはどうでしょうか。
検察官の場合は、こうなっています。
「検事総長は、年齢が65年に達した時に、
 その他の検察官は年齢が63年に達した時に
退官する。」
(検察庁法22条.)
http://bit.ly/1dAoqb1
微妙に裁判官とは違うようです。

弁護士の場合は、定年はありません。
資格をもつ自由業であり、
気力・体力が続く限り現役が続けられると言ってよいでしょう。
(ただ、事務所など所属する個々の組織での定年はあるかもしれません)


退くそのときまでは、充実した仕事がしたいものです。
 
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by yoridocoro | 2010-11-23 08:19 | 法律雑学

自首のタイミング

自首、つまり、罪を犯した者が捜査機関に自分の犯罪事実について申告して、処分をゆだねることがあります。
では、その申告のタイミングについてはどうなっているのでしょうか。

法は
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
としています。(刑法42条1項.)
もう捜査機関から取調べを受けていて、取調べ中に「私がやりました。」と言っても、それは自供、自白したというにとどまり、自首をしたということにはならないわけです。

このタイミングについては、最高裁判例があります。
判例は
『刑法第42条第1項の「未タ官に発覚セサル前」とは犯罪の事実が全く官に発覚しない場合は勿論犯罪の事実は発覚していても犯人の何人たるかが発覚していない場合をも包含する』
として、
捜査機関において犯罪事実が判っていても犯人が誰か判っていない場合の申告について、自首になるとしています。
(昭和24.5.14最高裁判決.)

また、判決は続けて
『犯罪事実及び犯人の何人なるかが官に判明しているが犯人の所在だけが判明しない場合を包含しないものと解すべき』としています。
つまり、捕まっていない状態から自ら出頭して捕まえてもらったとしても、それがすべて自首になるわけではないのですね。
捜査機関はあいつが犯ったんだと追い、犯人は追われながらも逃走を続け。。という場合、テレビドラマ的には「自首して!」などという言葉も出てきますが、この状態は、すでに、刑法42条1項にいう「自首」ができる場合ではなくなっているのです。
 
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by yoridocoro | 2010-11-21 18:27 | 法律雑学

最高検は起訴できない

この記事は、2010年10月10日に書いています。

「最高検は...大阪地裁に起訴する方針を固めた。」との報道があります。
起訴(公訴の提起)は、検察庁の検察官が裁判所に対して刑事事件につき審理するよう求めるものですが、実は最高検は起訴できないのです。
起訴する場合、大阪地裁には大阪地検検察官が起訴することになります。

---
法は
「最高検察庁は、最高裁判所に」「地方検察庁は、各地方裁判所に...それぞれ対応してこれを置く。」と定めています。
(検察庁法2条1項.)
そして、各裁判所には、管轄というそれぞれの受け持ちがあるわけです。
例えば最高裁判所は、第三審である上告審を受け持ちます。

そして、判例はこういっています。
「公訴は検察官がこれを行うものではあるが(刑事訴訟法第247条)、検察官はいずれかの検察庁に属しその属する検察庁に対応する裁判所の管轄区域内においてその裁判所の管轄に属する事項について刑事につき公訴を行...うのであって(検察庁法第5条第4条)」「福岡区検察庁検察官は福岡簡易裁判所に公訴を行うのであって福岡地方裁判所に公訴を提起することはできないのである。換言すれば福岡地方裁判所に公訴提起することのできるのは福岡地方検察庁検察官でなければならない」
(昭和33.9.13福岡地裁判決.)

ということで。大阪地方裁判所に起訴することのできるのは、大阪地方検察庁検察官だけなのです。
もし、もしも大阪地方裁判所に最高検察庁検察官から起訴したら、公訴提起の手続がその規定に違反したため無効ということで、公訴棄却の判決を受けることになってしまいます。
(刑事訴訟法338条4号.)


なお、最高検察庁が最高裁判所に対応するものだとしたら、最高検察庁が捜査するのはいいのだろうかという疑問がわきますが、法は
「検察官は、いかなる犯罪についても捜査をすることができる。」と定めています。
(検察庁法6条.)
そのため、捜査に関しては、管轄の制限はかかってこないのです。
 
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by yoridocoro | 2010-10-10 09:38 | 法律雑学

事件はいつ確定するか(2)

ここでは刑事事件について述べます。

「最高裁が上告棄却 確定へ」などという報道を見かけます。
「確定へ」ということは、その時点でまだ確定していないということです。
日本は三審制です。刑事事件の場合、第二審の控訴審は高等裁判所(=高裁)で、第三審の上告審は最高裁判所(=最高裁)で審理されます。
ですので、最高裁は最終審理をするところですが、最高裁の上告棄却決定が出てもまだ確定ではないとすると、事件はいつ確定するのでしょうか。

上告棄却決定に対しては、その裁判をした裁判所である最高裁に、異議の申立てをすることができます。
判例は
「刑訴414条、386条1項3号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同414条、386条2項により異議の申立をなすことができる」としています。
(昭和30.2.23最高裁大法廷決定.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54758&hanreiKbn=02
そして、この申立てについては即時抗告の規定が準用されますので、申立て期間は3日です。
(刑事訴訟法422条.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html
日数計算については、上告棄却決定謄本が送達された(=裁判が告知された)翌日を1日目とする数え方です。
(刑事訴訟法55条1項により初日不参入.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

(なお、最高裁が上告を棄却する場合、ほとんどは公判廷が開かれませんから、ある日、郵便で裁判所からの特別送達が届いてその結果を知る、という形になります。
マスコミ報道などが出てくるのも、この郵便で結果が届けられた後のことです。)

上告棄却決定が送達された翌日から起算して(=数え始めて)3日のうちは異議申立てができるということは、その3日のうちは「裁判内容はもしかしたら変わるかもしれない」わけです。
(異議申立てがあれば最高裁はそれにつき再び判断するのだし、異議申立てがまだない状態でもその3日のうちは「異議申立てがこれからある」かもしれない)
異議申立てがないままならば、3日という異議申立て期間が経過することで裁判は確定します。

では、異議申立てがあった場合はどうでしょうか。
異議申立てに対する決定も、やはり郵便で送達(告知)されますが、その送達された日に確定することになります。
「異議申立てに対する決定」に対して、再び上訴や異議申立てはできませんから、そこが終わりになるわけです。
(刑事訴訟法427条により再抗告禁止.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

鈴木宗男議員に対する受託収賄等被告事件を例に、具体的に見ますと次のようになります。
(平成22年)
9月 7日 最高裁が上告棄却決定
9月 8日 上告棄却決定謄本が送達(告知)
9月10日 弁護人が上告棄却決定に対する異議申立て
9月15日 最高裁が異議申立て棄却決定
9月16日 異議申立て棄却決定謄本が送達(告知)、裁判確定

ということで、最高裁が上告棄却したと判る9月8日の時点では確定していないのでした。
 
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by yoridocoro | 2010-10-03 12:30 | 法律雑学

事件はいつ確定するか

ここでは刑事事件について述べます。

裁判所の裁判がなされたとき、その内容がすぐ執行(実行)されるわけではありません。
事件は、控訴され高等裁判所で、また、上告され最高裁判所で争われることもあります。それはつまり、不服申立をしている間はその裁判内容が変わる可能性があるということです。
ということで、裁判は、確定すること(もう争えず、裁判内容が動かない状態となること)が大切です。
原則、裁判は、確定した後にこれを執行することになっています。(刑事訴訟法471条.)
(一審有罪のとき、まだ裁判中でこれから無罪となるかもしれないけど、「先に刑務所行っとけ」とはならない)

では、事件はいつ確定するのでしょうか。
上訴(上級裁判所の判断を求める不服申立)中はまだ確定しないわけですが、上訴するかどうか検討し考えるための期間(上訴提起期間)中もやはり確定しません。
上訴提起期間は、控訴・上告ともに14日間です。(刑事訴訟法373条、414条.)
http://bit.ly/rNYGRD
http://bit.ly/ud2DeD
上訴提起期間内に、被告人側からも検察官からも上訴の申立てがなされなかったら、その期間が経過することで裁判は確定します。

法は
「上訴の提起期間は、裁判が告知された日から進行する」としています。(刑事訴訟法358条.)
http://bit.ly/tp9RBJ
(上訴申立てがなかったとして)じゃあ、7月1日(水)に判決言渡しのとき、7月1日から14日まで14日間数えた後の、7月15日(水)になれば確定するかというと、そうではありません。
「期間の計算については...日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない」(刑事訴訟法55条1項.)
http://bit.ly/vJKTU7
のとおり、初日である7月1日はカウントされないのです。
7月1日(水)に判決のとき、上訴申立てはその当日から可能になりますが、期間の計算ではその翌日から数え始め7月2日から15日まで14日間数えた後の、7月16日(木)(7月16日午前零時)に確定することになります。

なお、旧法での判例ですが
「上告提起期間は...裁判宣告の翌日より5日とすべきもの」
(大正13年4月26日大審院決定.)
として、上訴提起期間は裁判宣告の翌日から起算される旨示しているものがあります。
(当時は上告提起期間が5日間でした)

---
余談ですが、私的には、カレンダーをさす指をスライドさせつつ「ドン、ドン、パ」と心の中で言いながら確定日を確認しています(^^;
「判決のあった日の、次週の同じ曜日」「次々週の同じ曜日」「その右隣の日」という3つです。
 
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by yoridocoro | 2010-07-10 09:33 | 法律雑学

略式命令で科することのできる罰金の最高額

簡易裁判所は、検察官の請求により、公判を開かずに、略式命令で一定額以下の罰金又は科料を科することができます。(刑事訴訟法461条.)
起訴された被告人と裁判官は顔を合わせることなく、書面審理で裁判が行われるのです。

罰金であれば略式手続が使えるわけではなく、一定の範囲内に限られます。
高額の罰金としては、法人税法違反の事案で「罰金2億4000万円に処する」とした例があるように、
(平成18年5月25日さいたま地裁判決.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33489&hanreiKbn=04
億の位で罰金に処せられることがありますが、このような場合は略式命令によることはできず、公判廷での判決言渡しによることになります。

略式命令で科することのできる罰金の最高額は、そのときどきの情勢に応じ、引上げが行われてきました。

=====
昭和24年1月1日〜 5000円以下
 (刑事訴訟法461条1項. 昭和23年法律第131号.)
昭和24年2月1日〜 5万円以下
 (罰金等臨時措置法7条3項. 昭和23年法律第251号.)
昭和47年7月1日〜 20万円以下
 (罰金等臨時措置法7条3項. 昭和47年法律第61号.)
平成3年5月7日〜  50万円以下
 (刑事訴訟法461条. 平成3年法律第31号.)
平成18年5月28日〜 100万円以下
 (刑事訴訟法461条. 平成18年法律第36号.)
=====

振り返ると、だいぶ高くなったものです。

なお、平成3年5月7日の改正施行直前まで、刑事訴訟法461条には「五千円以下の罰金〜」と定められていました。
それは、刑事訴訟法461条の条文にある金額はそのままで、
上記の罰金等臨時措置法により「罰金及び科料の額等に関する特例」が定められているという構成であったからです。
平成3年5月7日の改正施行により、罰金等臨時措置法7条は削除され、本来の刑事訴訟法461条を読めば略式命令の最高額がわかるようになりました。
 
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by yoridocoro | 2010-07-08 02:17 | 法律雑学

上映会と著作権法(3)

個人が市販の映画DVDを使って上映会をする話の続きです。

国はどう見ているのでしょうか。

---
平成15年1月24日、文部科学省設置の文化審議会で、著作権分科会 審議経過報告が取りまとめられました。
そこでは、図書館などの公共施設等において映画の著作物等を上映することについて、こう述べられています。

「現行の著作権法第38条第1項では,著作物を非営利・無料・無報酬で上映することについては許諾が不要とされている。
しかしながら,ビデオ・DVD等の普及・発達により,誰もが簡単に非営利・無料・無報酬の上映を行うことができるようになったことから,図書館などの公共施設等で行われる非営利・無料・無報酬の上映が商業的な映画上映等と競合し,権利者の利益を不当に害する状況が出現しているとの指摘がある。
また,この規定については,ベルヌ条約上の義務との関係から問題があると内外の関係者から指摘されており,非営利・無料・無報酬の上映に係る権利制限については,こうした問題に対応する観点から,その対象となる行為の範囲を見直すことが必要であると思われる。」
「なお,図書館などの公共施設等における非営利・無料・無報酬の上映については,法改正後においても商業的な映画上映等と競合しない範囲で,権利者の許諾を得た上で,できる限り行い得るようにすることが望まれる。」
(文化審議会著作権分科会審議経過報告 第1章・II・3・(2))
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/030102b.htm

---
また、上記報告を受けて、経済産業省からも著作権法改正要望が提出されています。
そこでは、こう述べられています。

「公共図書館等による「上映会」「映画鑑賞会」が増加し、個人観賞用のビデオが利用されているケースが多く見受けられるようになった。」
「しかも、これらの「上映会」等は、それに用いられる上映機器・設備の飛躍的向上により、商業的興行と比較しても遜色ない高画質・高音質のものになってきている。
 これにより、非営利目的・無償の「公の上映」といえども、現行法制定当初に予想された範囲を超えて、著作権者の経済的利益に無視できない影響を与えるようになってきている。」
「上記のように、著作権法第38条第1項は、「公の上映」については著作権者の正当な権利を制限する程度が大きくなってきたことから、事前に権利者から許諾を受けて「公の上映」が行われるシステムを築き、権利者の正当な利益を確保する必要がある。」
(文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第5回)資料3)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/03120201/004/011.pdf

---
上記はいずれも平成15年時点でのものですが、この著作権法38条1項については、平成22年5月現在でもまったく同じ文言のままです。改正は行われていません。

結局、国サイドとしては、
市販の個人鑑賞用ビデオを利用しての上映会は、
非営利・無料・無報酬で上映することについては許諾不要、
しかし著作権者の権利を制限する程度が大きくなってきた(著作権者にただ我慢しろというのは酷になってきた)、という見解なようですね。
 
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by yoridocoro | 2010-05-23 21:09 | 法律雑学

上映会と著作権法(2)

個人が市販の映画DVDを使って上映会をする話の続きです。

著作物である映画についても、
「非営利」「対価の料金徴収なし」「実演家に報酬なし」の3要件が満たされていれば、
上映の許諾なしで公に上映できる(著作権法38条1項.)ことを前に述べました。

では、上映するときに用いるソフトが市販DVDであることに問題はないのでしょうか。

---
まず、手元にある別なDVDのパッケージを見てみます。
「このDVDは、一般家庭内における私的再生に用途を限って販売されています。従って有償・無償に拘らず、権利者の書面による事前の承認を得ず、...上映等を行うことを禁止致します。」
とあります。
著作権者としては、事前承認なしで公に上映することは禁止、という意思であるようです。

次に、日本国際映画著作権協会のサイトをもう一度見てみます。
「一般に市販されているDVDやブルーレイ・ディスク等の映画のソフト...は、家庭内視聴を目的に「頒布」...されています。これらの映画ソフトを家庭内視聴以外の目的で使用することは、権利者である映画会社が認めておりません。」
「一般市販の映画ソフト等を権利者に無断で上映する行為は、著作権法第22条の2に定められている権利者の「上映権」を侵害する無断上映=違法行為です。」
http://jimca.co.jp/compliance/index.html

ふむ。権利者が認めていない、と。権利者がそのような意思であることはわかります。
しかし、前回記事で述べましたように、著作権法38条は、
「公表された著作物」は、(〜の場合には)公に上映することができる、
という条文です。
著作権者が持つ権利(上映権)を制約(制限)して、つまり権利を持っている人に我慢してもらって、公に上映することを例外的にOKとしているわけです。
とすると、要件が満たされている場合(例外的に上映OKとなる場合)は、権利者の意思は関係ないことになります。法が、(その例外の場合には)上映権の出る幕ではないと言っているのですからね。

---
著作権法ではOKだとしても、権利者がそのDVDの利用を認めていないという点が気になるかもしれません。
例えば、当事者双方が納得して一定の取扱いを決めこれを約束したならば、それは契約ですから、守られるべきことです。
しかし、私について言えば、市販DVDソフトの購入にあたり権利者側から取扱いはこうしたいと説明を受けたことはないですし、取扱いについて約束したこともありません。
契約は、複数当事者が合意することで権利や義務を作り出すものですから、双方の合意がないことには契約はなされていないといえるでしょう。

市販DVDの商品パッケージには確かに権利者の意思の記載はあります。
しかし、購入者が権利者の意思に沿った行動を取るかどうかは、購入者自身が決めることでしょう。
そういえば。最近読んだある本には、「本書の内容の一部あるいはすべてを無断で複写・複製・転載することを禁じます。」とありました。
この本について「より理解するため、本の一部をコピーしてマーカーを引きながら深く読み込む」とか「練習のため、あるイラストを手書きにより模写する」などの行為は、複製に当たりますが、私だったら権利者に無断で行います。購入者自身が決めることだと思うからです。
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by yoridocoro | 2010-05-17 07:58 | 法律雑学

上映会と、著作権法38条1項

個人が、市販されている映画DVDを使って上映会をすることがあります。
著作権の問題はないのでしょうか。

---
まず、手元にある映画DVDのパッケージを見てみます。
「このディスクを無断で...上映...することは法律により禁じられています。」
とあります。
とはいっても、「上映」は、
「映写幕その他の物に映写すること」(著作権法2条1項17号.)
であり、スクリーンやディスプレイ上に映し出す行為ですから、上映しないとDVDの中身を見ることができません(^^;

この注意書きでの「上映」は「公に上映」すること、つまり「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」(著作権法22条を参照.)の上映を指しているのでしょうね。
著作者は、その著作物を公に上映する権利を持ちます。(上映権。著作権法22条の2.)
その、公衆に見せるため映し出す行為にOKを出すか出さないかを決められるということです。
「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。」(著作権法63条1項.)

家庭内視聴や、数人の友人を招いての私的な上映会は、「公に上映」するものではありませんから、上映権を侵害することはありません。
市販される映画DVDの本来の目的にも合うものでしょう。
著作権者にOKかどうかを聞く必要はありません。

---
では、不特定多数、あるいは特定多数の人々を集めて上映会をするときはどうでしょうか。
こちらは「公に上映」するわけですから、原則として著作権者の許諾を得て行うことになります。

日本国際映画著作権協会のサイトでは
「著作権者に無断で営利目的で映画を公に上映する行為は、無断上映に当たり、違法行為となります。」と太字で掲載されています。
http://www.jimca.co.jp/compliance/index.html
「無断で」の後に言葉がありますね。「営利目的で」とあります。
そうしたら営利目的でない場合はどうなのか、という話になります。

著作権法はこう定めています。
「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」
(著作権法38条1項.)

上映会に関する部分をとらえ直してみます。
『公表された著作物(である映画)は、
・営利を目的とせず
かつ
・観衆から料金を受けず
(=名義を問わず、映画の提示についての対価(映画を観せることの対価)を受け取らない)
かつ
・その上映会の出演者などに報酬が支払われない
場合には、
公に上映することができる』
ということになります。

先に、「公に上映」する場合は、原則として許諾が要る旨を述べました。
対して、上記の要件を満たしたものは、その例外として、公に上映することができるわけです。
つまり、著作権者にOKかどうかを聞く必要はありません。
著作権法38条は、著作権を制約して、著作物の利用にかかる公益を優先させる場合を定めているのです。

専門書でも、
「公表された著作物を公に上演し,演奏し,上映しあるいは口述しようとするとき,営利を目的とせず,視聴者から入場料等の対価が徴収されず,かつ,利用行為の主体である実演家なり口述者に報酬が支払われない場合には,著作権者に無許諾・無償で,その著作物の上演等を行うことができる.」
(半田正夫・松田政行編『著作権法コンメンタール2』298頁.(頸草書房、2009))
として、無許諾で利用可能としています。
 
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by yoridocoro | 2010-04-18 18:24 | 法律雑学

アルコール1%超で「お酒」でないもの

お酒の話をもう少し。

概略、
「酒類」とは、アルコール分一度以上(1%以上)の飲料をいう
わけです。
そのため、先に挙げた
・ヤクルト「タフマン」(清涼飲料水で、アルコール分0.9%)
・エーザイ「チョコラBBローヤル2」(医薬部外品で、アルコール分0.98%以下)
などは、アルコールが含まれていますが、酒類ではありません。

ここで、薬局に並ぶドリンク剤をじっくり眺めていますと、気付くことがあります。
アルコール分が1%を超えるものがあるのです。
実例を見てみますと、
・サトウ製薬「ユンケル黄帝液」は、第2類医薬品ですが、アルコール分3.0%以下(1瓶30mL中アルコール0.9mL以下)が含まれています。
http://www.kenko.com/product/item/itm_8931324072.html
これは酒類なのでしょうか。

結論から言えば、酒類ではありません。
そのわけは、国税庁通達にあります。
通達は、アルコール含有医薬品の取扱いとして、
「ホルモン剤(坑ホルモン剤を含む。)、ビタミン剤、滋養強壮薬その他の代謝性医薬品」のうち
・1容器の容量が20ミリリットル以下のもの
・1容器の容量が20ミリリットルを超え100ミリリットル以下のもので、かつ、アルコール分が3度以下のもの
については、強いて酒類には該当しないことに取り扱う、としています。
(国税庁・酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達、酒税法2条1項関係)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sake/2-01.htm#a-05

つまり、こういうのは酒税法でいう「酒類」とは見ないよ、ということですね。

おそらく、医薬品だということと、容量の少なさから、度数の制限を緩和しているのでしょう。
実際のところ、
タフマン 110mL×0.9%=0.99mL
ユンケル  30mL×3.0%=0.9mL
で、清涼飲料水のタフマンの方が摂取するアルコール量は多かったりするのです。
 
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by yoridocoro | 2010-04-11 02:55 | 法律雑学