- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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カテゴリ:法律雑学( 57 )

投票状況(○時現在の投票率)

先に、忙しい人のための要点。
・「報道機関のいう『○時現在の投票率』という数字は、選挙当日の投票者数に基づくものであって、期日前投票分及び不在者投票分を含みません」

---
例えば、読売新聞(2012年12月16日15時24分)は、こう書いています。
「第46回衆院選…。総務省が発表した午後2時現在の投票率は27・40%で、前回2009年の同時刻と比べ、7・79ポイント下回っている。」

例えば、読売新聞(2012年12月16日19時29分)は、こう書いています。
「第46回衆院選…。総務省が発表した午後6時現在の投票率は41・77%で、前回2009年の同時刻と比べ、6・63ポイント下回っている。」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news/20121216-OYT1T00351.htm

これだけでは、41.77%という数字が、期日前投票等の分を含むのかどうか判りません。
投票日当日を迎える前の投票として
 期日前投票(投票日当日に都合の悪い人が、名簿登録地の選管で前日までに投票する)や
 不在者投票(旅行先や滞在地の選管で事前に投票するものなど)
がありますよね。

記事中に
「これは選挙当日の投票者数に基づくものであって、期日前投票分及び不在者投票分を含みません」
と表現することはなんら難しいことではないのですから、必要なことを示していただきたいと思います。

もし元の総務省発表にないのだとしても、記者自身が勉強し、又は疑問点を確認した上で書けばよいことです。
何の数字なのかを意識していれば当然にもつ疑問ではないでしょうか。


期日前投票は、選挙期日(投票日)の前に、投票用紙を直接投票箱に入れており、選挙当日に投票所に出向いてする投票と同じく確定投票となります。
「12月16日の午後6時現在」というなら、その時点で投票がされている前日までの票も含まれていると考える読み手も多いでしょう。
「12月16日の午後6時現在」投票済みだけれどカウントしない、という変則的な数字で報道するのであれば、読み手に対し必要な説明をするのが相当だと思います。


(なお、選管として、投票状況速報に上記注意書きをしているものとして、石川県選挙管理委員会のページがあり、
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/senkan/46shugi/sokuhou/documents/tj2030.pdf
こちらでは
『(注)3 「投票率」は「10時」から「19時」までについては、当日の投票者数に基づくもの、「20時30分」については、期日前投票分及び不在者投票分を含めたものである。』
とはっきりした形で示されています)

(12/16 21:30追記:ニュース記事の更新に従い、数字等を修正しました。)
 
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by yoridocoro | 2012-12-16 15:38 | 法律雑学

刑法は殺人を禁止しているか

刑法という法律があります。
刑法は、一定の行為を犯罪と定め、それに対する刑罰を予告しています。(犯罪カタログの提示)

犯罪行為への否定的評価と、行為規範の明示。(刑法の規制的機能)
つまり、犯罪はやってはいけない行為なのだという「評価」を明らかにして、やらないようにと国民に呼びかけているわけです。

ここで、私自身は、「刑法は殺人を禁止している」とは言わないことにしています。
その禁止に対する違反が実際に行われたとき、刑法違反だと言えないからです。
(刑法違反だとするなら何条違反なのでしょう?)
刑法199条は
「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」となっています。
よく読んだ上で、素直に見れば、これに違反することができるのは、裁判官でしょうね。

犯人がしたのは、「やってはいけない」という刑法が示す評価に反した
(刑法が示す規範に反した)、ということ。
そして、私自身はそれを刑法違反とは言わないのです。
(言葉でいえば、「刑法違反の行為」ではなく「刑法に触れる行為」を用いるでしょう)

---
刑法の「人を殺した者は…に処する。」との定め方。
「仮言命題の形式で法律要件としての犯罪とこれに対する法律効果としての刑罰とを結び付けており、直接的には裁判官を名宛人とする裁判規範として定立されたものである。」
(吉川経夫『三訂 刑法総論』6頁。法律文化社、1989.)

仮言命題(かげんめいだい)。条件と帰結を示します。「PならばQである」の類でしょうか。

刑法の定め方。私も上記引用と同様に思います。

  
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by yoridocoro | 2012-12-09 07:06 | 法律雑学

解散について(議員の任期について)

調べたものをまとめてみます。

解散について。
解散とは、任期満了前に議員の資格を失わせる行為です。
衆議院に対してのみ解散が行われます。
「衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。」(憲法54条1項.)
「衆議院議員の任期は、4年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。」(憲法45条.)

なお、野田さんは、総選挙後国会召集までは内閣総理大臣です。
現在の状態は、国会議員の資格を持たない内閣総理大臣。

---
任期について。
「衆議院議員の任期は、総選挙の期日から起算する。」(公職選挙法256条.)
任期の終わりは、上に引用したように、「衆議院解散の場合には…終了」するわけです。

第45回衆議院議員総選挙で選ばれた衆議院議員の任期は、
 平成21年8月30日~平成24年11月16日でありました。
総選挙の期日から衆議院解散までです。

そして。
「参議院議員の任期は、前の通常選挙による参議院議員の任期満了の日の翌日から起算する。」(公職選挙法257条.)
「参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。」(憲法46条.)

第21回参議院議員通常選挙で選ばれた参議院議員の任期は、
 平成19年7月29日~平成25年7月28日であり、
第22回参議院議員通常選挙で選ばれた参議院議員の任期は、
 平成22年7月26日~平成28年7月25日であります。
こちらはしっかり6年間ですね。

---
選挙の現職・前職について。
議員が続けて当選を重ねるとき、選挙は「現職」で当選しているかというと、必ずしもそうではありません。

例えば、平成22年の参院選で東京選挙区・蓮舫さんは「民主党現職」、
平成21年の衆院選で鳥取1区・石破茂さんは「自民党前職」で
それぞれ当選(連続での当選)をされました。
この参院選は任期満了前の選挙、この衆院選は任期終了(解散)後の選挙だからですね。

見ると、石破さんも、解散日2012年11月16日付ブログで
「ほとんどの議員や秘書たちは選挙区に散り、永田町はガランとした雰囲気になってしまいました。」
と書かれています。さっきまで議事堂にいても、「前」議員。
(いよいよ: 石破茂(いしばしげる)ブログ)
http://bit.ly/TSqqzi

もう一つ挙げると、
平成19年の参院選で群馬選挙区・山本一太さんは、「自民党前職」で
当選(連続での当選)をされました。参院選だけど前職。
平成22年(2010)参院選は任期満了の選挙、
平成19年(2007)参院選は任期満了の選挙 なわけです。


選挙における「新・現・元」又は「新・前・元」の別は、公式結果でも見られます。
参議院議員通常選挙結果(総務省)
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/sangiin/ichiran.html
http://www.soumu.go.jp/main_content/000074817.pdf (平成22年分)
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/sangiin21/pdf/sangiin21_3_13.pdf (平成19年分)

 
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by yoridocoro | 2012-11-18 00:48 | 法律雑学

解散について(誰が解散するか)

2012年11月16日。いよいよ衆議院が解散されました。一か月後には選挙です。

調べたものをまとめてみます。

「日本国憲法第七(なな)条により、衆議院を解散する。」と衆議院議長が言いますが、
衆議院を解散するのは、衆議院でも、内閣総理大臣でもありません。
「日本国憲法第七条により、衆議院を解散する。明仁」なのですから。天皇陛下ですね。
解散は、天皇の国事行為です。
「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  三  衆議院を解散すること。」
(憲法7条3号.)
「天皇は、」が主語。
議員の起立、そして万歳は、解散の主体に対する敬意なのでしょう。

解散詔書の写しの画像です。
http://t.co/JMruB9yo (Twitter・赤旗政治記者さんから)
「御名御璽(ぎょめいぎょじ)」は、詔勅(しょうちょく)などの末尾に天皇陛下のお名前と公印が記されていることを表します。
なので、詔書(しょうしょ)に「御名」と書いてあるわけではありません。

解散詔書のサンプルの画像です。
http://img.allabout.co.jp/gm/article/293484/20050727_2.gif (All About [ビジネススキル・仕事術]http://allabout.co.jp/gm/gc/293484/2/から )
そう、天皇陛下が署名されるわけですね。
 
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by yoridocoro | 2012-11-17 16:02 | 法律雑学

刑事施設と留置施設について

刑事訴訟法の条文で、
「勾留すべき監獄」は、「勾留すべき刑事施設」に変わりました。(刑訴法64条1項.)
また、勾留請求書や勾留状において、具体的な勾留場所を示す記載は、
以前は「代用監獄たる警視庁新宿警察署留置場」の形でしたが、
現在は「警視庁新宿警察署留置施設」のようになっています。

(記載については、『刑事裁判記録教材(勾留請求事件)』(法曹会、2004.)と、
『事件記録教材(第7号 詐欺被疑事件)』(法曹会、2010.)を参照しました。)



条文を見てみます。
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容施設法)では、「刑事施設」は、
 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者、
 逮捕された者であって、留置されるもの、
 勾留される者、
 死刑の言渡しを受けて拘置される者
等を収容し、必要な処遇を行う施設とされています。(3条.)
http://bit.ly/KMRhf1

また、法務省設置法では、
「刑務所、少年刑務所及び拘置所は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 …の規定による刑事施設として置かれるものとする」とあります。(8条2項.)
「刑事施設」は、具体的には刑務所や拘置所、ということですね。
http://bit.ly/LORcnb



なお、前記刑事収容施設法では、「留置施設」につき、
「都道府県警察に、留置施設を設置する。」と定め、
 都道府県警察の警察官が逮捕した者で、留置されるもの、
 その後勾留されるもの
等を留置し、必要な処遇を行う施設としています。(14条.)

以前、警察署にある留置場は、代用監獄(だいようかんごく)と言われていました。
国の施設の数や体制が十分ではないため、
都道府県警察の警察署にある留置場が、監獄(特に拘置所)の代用として使用されたわけです。

旧監獄法では
「警察官署ニ附属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得」(1条3項.)
と定められていました。
http://roppou.aichi-u.ac.jp/joubun/m41-28.htm

そして、前記刑事収容施設法では、
「刑事施設に収容することに代えて、留置施設に留置することができる」(15条.)
と定められています。「代用」の二文字はここで消えました。
http://bit.ly/MpRRzO


時期で言いますと、
「刑事施設」との記載は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(受刑者処遇法)施行の平成18年(2006年)5月24日からです。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16220050525050.htm
http://www.someisha.com/h18/gov_h18_191.html
そして、
「留置施設」との記載は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容施設法)施行の平成19年(2007年)6月1日からです。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16420060608058.htm
http://www.someisha.com/h19/gov_h19_167.html

ここで、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」は、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」の改正の際に、法律の題名も改められたものですので、念のため。。

 
 
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by yoridocoro | 2012-06-28 23:43 | 法律雑学

著作権法改正について

平成21年6月、
違法なインターネット配信による音楽・映像を違法と知りながら複製する場合、私的使用目的でも権利侵害とする旨の著作権法の改正(海賊版の音楽・動画のダウンロード違法化)がなされました。
(平成21年法律第53号。平成22年1月1日施行.)
ただし、罰則はありませんでした。

そして、平成24年6月20日、
規制強化のため、違法ダウンロード行為に懲役刑を含む刑事罰を設けるなどの著作権法の改正(違法ダウンロード刑罰化)が、参院本会議で可決・成立しました。
(刑罰化に関する規定は、平成24年10月1日施行.)


以下、私の目に入った範囲でリンク等を挙げておくことにします。

---平成21年改正

平成21年通常国会 著作権法改正等について(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html

電子計算機の利用時に生じるキャッシュについて権利者の許諾を要しないことは、
「…電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。」との形で定められた。
(第47条の8.)
http://bit.ly/NyZxPF

「動画を視聴する際…コンピュータ内部に一時的に保存される…キャッシュ…に関しては…電子計算機における著作物利用に伴う複製に関する著作権の例外規定(第47条の8)が適用され」
(上記文化庁リンク 改正法Q&A 問10)

「キャッシュ…については権利者の許諾を要しない」「ストリーミングの際に生じるキャッシュについても許諾不要」
(「著作権法の一部を改正する法律案 〜『デジタル・ネット時代』への対応と今後の課題〜」立法と調査 291号(参議院)28頁.)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/20090401.html
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090401024.pdf


---平成24年改正

第180回国会 議案の一覧(衆議院)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DB0916.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g18005064.htm

第180回国会 2012年6月20日 本会議投票結果(参議院)
(著作権法の一部を改正する法律案は、賛成票221、反対票12。
 反対票12票は、共産6、社民4、民主1、無所属1。)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/180/180-0620-v018.htm


10月1日からDVDリッピング違法化&違法DL刑罰化、改正著作権法が可決・成立(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120620_541251.html


「私的違法ダウンロードの罰則化」などを含む著作権法の一部を改正する法律案の国会通過にあたって(日本レコード協会)
http://www.riaj.or.jp/release/2012/pr120620.html

法制問題小委員会ヒアリング 「著作権法第30条に係る意見」(日本レコード協会)
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h23_shiho_03/pdf/shiryo_1.pdf


「違法ダウンロード刑罰化」に関する著作権法改正についての会長声明(日本弁護士連合会)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120621.html

ダウンロード刑罰化成立(壇弁護士の事務室)
http://danblog.cocolog-nifty.com/index/2012/06/post-2a23.html

違法ダウンロードの罰則化法案成立 ユーチューブやニコ動は大丈夫なのか(弁護士 落合洋司(東京弁護士会)の 「日々是好日」)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120621#1340245196

新設119条3項の解説(benli)
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2012/06/1193-7ddc.html


『違法ダウンロード刑事罰化』について、議員向けの反対声明を発表しました。(インターネットユーザー協会(MIAU))
http://miau.jp/1338800400.phtml

違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました( akiyan.com )
http://www.akiyan.com/blog/archives/2012/06/tsuda-daisuke-view-for-illegal-download.html

 
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by yoridocoro | 2012-06-24 23:52 | 法律雑学

実刑について

刑事裁判の報道で、「○○に実刑判決」などの表現をよく見かけます。
「実刑」とはどういう意味でしょうか。

広辞苑第六版では
「執行猶予がつかず実際に執行をうける刑罰、特に自由刑。」
とあります。
また、岩波国語辞典第四版では
「執行猶予にならず、実際に受ける体刑。」
とされています。

(「体刑」には、「自由刑」と「身体刑」の意味があります。
懲役や禁錮など、拘禁によって受刑者の自由を奪う刑罰が「自由刑」、
受刑者の身体を傷つけたり痛めつけたりする刑罰が「身体刑」です。
なお、現在の日本では身体刑の制度は存在しません。
上記の岩波での「体刑」は、「自由刑」の意味で使っていますね。)

刑事裁判の主文では
「被告人を懲役1年6月に処する。」
などとその結論部分が示されますが、そのあとに
「この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。」
などと付けば、それは執行猶予になるわけです。
〜猶予する、の言葉が付かないのが「実刑」となります。


さて。以前、全国紙地方版で、
「(共犯の)5人は既に執行猶予付き実刑判決」
との表現に接したことがあります。(平成19年3月30日付け 毎日新聞地方版/青森.)
これは矛盾です。
もしかすると、「実刑」の語を懲役や禁錮などの身体拘束される刑とイメージしているのかもしれませんが、それは誤りです。
刑罰の種別とは関係なく、実際に執行をうける刑罰が「実刑」です。
「執行」を「猶予」する(実行の期日を延ばして、実行しない状態にしておく)ことと、
「執行」する(実際にとりおこなう)こととは、同時には成り立たないのです。
 
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by yoridocoro | 2012-05-11 07:13 | 法律雑学

法令における漢字使用等について

「法令における漢字使用等について」。
平成22年11月30日付けで内閣法制局長官決定が出ています。(PDF)
http://www.clb.go.jp/info/other/houreiniokerukanji.pdf
(URLは、内閣法制局のページ)
同じ日に内閣告示「常用漢字表」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/jyoyokanji_kokuji.html
が告示されたことに伴い、法律や政令(の条文)における漢字使用のルールを定めたものです。

上記平成22年決定の内容は多くの項目にわたりますが、これの感想として
「〜になった」「使わないことに」「なくなる」「漢字制限」などと書かれている方もいらっしゃるようです。
実際のところはどうでしょうか。
目にすることが多いと筆者が感じた言葉を取り上げてみます。

平成22年決定「法令における漢字使用等について」1・(6)では、こう掲げられています。
-----
次のものは,()の中に示すように取り扱うものとする。
 覊束(用いない。)
 欺罔(用いない。)
 懈怠(用いない。)
 牽連(用いない。「関連」を用いる。)
 踰越(用いない。)
-----

ここで、この決定(PDF)の末尾【注記】には、
「従前の…『法令用語改正要領』…及び昭和56年10月1日付け…『法令における漢字使用等について』は,平成22年11月30日付けで廃止されました。」
とあります。
ということは、従前の定めがあったわけですね。
そちらはどうだったのでしょうか。


「法令における漢字使用等について」と
「法令用語改正要領の一部改正について」。
昭和56年10月1日付けで内閣法制次長通知が出ています。
http://houmu.h-chosonkai.gr.jp/siryoukan/youjiyougokannkei/houreikannjisiyou.htm
(URLは、北海道町村会 法務支援室のページ)
https://www3.e-reikinet.jp/iwate-ken/d1w_reiki/356909600278000000MH/356909600278000000MH/356909600278000000MH_j.html
(URLは、岩手県法規集のページ)

昭和56年通知により改正された「法令用語改正要領」では、こう掲げられています。
-----
第3・(B)
次のことばは、似た意味の漢字を重ね合わせてしいてむずかしく作られているから、それぞれわかりやすい日常語に改める。
 欺罔、欺瞞→だます
 懈怠→怠り
 踰越→越える

第4・(C)
次のものは、それぞれ他の一定のことばにいいかえる。
 覊束→拘束
 牽連→関連
-----

昭和56年通知。平成22年決定と言い回しは異なりますが、言葉を他の言葉に「改める」「いいかえる」、すなわち「用いない」ことを示しています。

ここで取り上げた5つの言葉について言えば、遅くとも昭和56年10月1日の段階で、法令における漢字使用としては「用いない」旨が示されています。
平成22年になっていきなり制限が始まったわけではない、と言えるでしょう。

事実に基づかない主張は、説得力がないものと存じます。

 
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by yoridocoro | 2011-11-13 17:28 | 法律雑学

刑法・刑訴法等改正の最近の主な動き

刑法・刑訴法等改正の最近の主な動きをまとめてみました。(内容の取捨選択は筆者によります)
年代順に概要を書いています。より詳しいことはリンク先などでご確認ください。


刑法・刑訴法。有期刑の上限引上げ(15年→20年)、集団強姦罪等の新設、各罪の法定刑の引上げ、強盗致傷罪の法定刑の引下げ(7年以上→6年以上)、公訴時効期間延長(死刑に当たる罪について15年→25年など ※ただし後に再改正)は、平成17年1月1日施行(16年法律第156号)。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00029.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16120041208156.htm

刑法。逮捕・監禁罪の法定刑引上げ(5年以下→7年以下)、生命・身体に対する加害目的の略取・誘拐罪の新設は、平成17年7月12日施行(平成17年法律第66号)。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00029.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16220050622066.htm

刑法・刑訴法。公務執行妨害罪・窃盗罪に選択刑として罰金刑新設(50万円以下)、業務上過失致死傷罪の罰金額引上げ(50万円→100万円)、略式命令の限度額引上げ(50万円→100万円)は、平成18年5月28日施行(18年法律第36号)。 
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00029.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16420060508036.htm

刑法・道交法。自動車運転過失致死傷罪の新設(懲役・禁錮の上限はいわゆる業過の5年に対し、7年)は、平成19年6月12日施行(19年法律第54号)。 救護義務違反(いわゆる「ひき逃げ」)の罰則強化(懲役の上限を5年→10年)は、平成19年9月19日施行(19年法律第90号)。
http://www.moj.go.jp/houan1/houan_houan37.html
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00029.html
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku9/gaiyou.pdf
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16620070523054.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16620070620090.htm

刑訴法等。被害者参加制度(被害者や遺族が、裁判所の許可を得た上、刑事裁判の公判に出席し、証人尋問、被告人質問及び意見の陳述を行うことができる)、被害者国選弁護制度(前記の被害者参加を許された人のために、裁判所が被害者参加弁護士を選定し、報酬等を国がもつ)は、平成20年12月1日施行(前者につき平成19年法律第95号、後者につき平成20年法律第19号)。
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/2103_higaisya_songai.html
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/2103_higaisya_songai/
http://www.moj.go.jp/houan1/houan_houan37.html
http://www.moj.go.jp/houan1/houan_houan39.html
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00029.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16620070627095.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16920080423019.htm

少年法。少年の福祉を害する成人の刑事事件についての管轄移管(少年法37条を削除することにより、管轄は家庭裁判所から地方裁判所or簡易裁判所へ。またこれにより略式命令も可能へ)。この改正は、平成20年12月15日施行(平成20年法律第71号)。
http://www.moj.go.jp/houan1/houan_houan39.html
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00029.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16920080618071.htm

刑訴法。被疑者に対する国選弁護制度は平成18年10月2日から始まっているところ、対象事件につき「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件」から「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」への拡大は、平成21年5月21日施行(平成16年法律第62号)。
http://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/mokuteki_gyoumu/kokusenbengo/
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/keizikisoku/pdf/06_06_06_sankou_siryou_02.pdf
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/keizikisoku/pdf/06_06_06_sankou_siryou_01.pdf
http://www.courts.go.jp/saikosai/vcms_lf/80101026.pdf
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/15920040528062.htm

裁判員法。裁判員制度(無期以上などの重い罪の刑事裁判で、国民が刑事裁判に加わり、被告人が有罪かどうか・有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と共に決める。50の地方裁判所及び10の支部(立川,小田原,沼津,浜松,松本,堺,姫路,岡崎,小倉,郡山にて実施)は、平成21年5月21日施行(平成16年法律第63号)。
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/index.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/15920040528063.htm

刑訴法。人を死亡させた罪の公訴時効期間延長・改正(自動車運転過失致死について5年→10年など。また、死刑にあたるものは公訴時効の対象から除外、すなわち、施行時公訴時効が完成していない殺人事件等については、時間が経っても公訴時効にかかることがない)は、平成22年4月27日施行(22年法律第26号)。
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/houan43.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/17420100427026.htm

刑法。不正指令電磁的記録に関する罪の新設、わいせつ物頒布等の罪の構成要件拡充(「電磁的記録」や「電気通信の送信」を明示)、電子計算機損壊等業務妨害罪の未遂処罰。このいわゆるサイバー刑法の罰則は、平成23年7月14日施行(平成23年法律第74号)。

刑法。強制執行妨害罪等の処罰対象の拡充(偽計・威力を用いて、立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害する行為、申立て妨害目的で申立権者又はその代理人に対して暴行・脅迫を加える行為等を処罰へ)は、平成23年7月14日施行(平成23年法律第74号)。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17705042.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/17720110624074.htm

(リンク切れにつき修正しました。2013.11.25)
 
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by yoridocoro | 2011-10-27 07:41 | 法律雑学

求刑について

求刑。
明鏡国語辞典第二版では
「刑事裁判で、検察官が裁判官に対して被告人に科せられるべき刑種や刑量について意見を述べること。また、その意見。」
とあります。
要は、検察官が「被告人にはこれくらいの刑が妥当だ」と意見をいうわけです。

検察官がする「求刑」は、法令に出てこない用語ですが、刑事訴訟法293条1項が「証拠調が終った後、検察官は、事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない」とするうちの、法律の適用についての意見と解されています。

判例は
「公判手続において…(刑罰法令)の適用実現を請求する検察官は…犯罪事実の存否に関する意見のみならず…これに相当する法条を指摘し且該事実に妥当する具体的刑罰の種類及び分量に関する意見をも陳述するのが当然であって、かゝる具体的な刑罰に関する意見がすなわち法律の適用についての意見に属するものである」
としています。
(昭和24.3.17最高裁判決.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56505&hanreiKbn=02


さて、「判決は求刑の8掛け」などと言われます。
(実刑判決の場合、懲役の量刑(刑の重さ)は、求刑の80%程度が目安との意)
では、裁判官がもっと重い刑が妥当だと考えた場合はどうなるのでしょうか。

検察官の求刑は、検察官の意見であって、これに裁判所が拘束されるものではありません。
ですので、求刑よりも実際の判決のほうが重い刑、というのは可能です。

最近では、裁判員裁判で、求刑を上回る判決をよく見かけるようになりました。
(例えば、平成23.9.15静岡地裁沼津支部判決. 求刑懲役13年・判決懲役15年.)
http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000311109160001
ただこれは裁判員裁判に限って出現するものではなく、職業裁判官による裁判でも例は見られます。
(例えば、平成17.9.9大阪地裁判決. 求刑懲役2年・判決懲役3年.)
http://www2.asahi.com/special/050425/OSK200509090083.html

判例は
「裁判官は、検察官の求刑に拘束されるものでないこと言うを待たない。」
(上記昭和24.3.17最高裁判決.)
「裁判所は検事の事実上並に法律上の意見に拘束されるわけはないのであるから、判決が求刑より重い刑の言渡であっても、違法ではない」
(昭和24.10.11最高裁判決.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=74804&hanreiKbn=02
としています。

決めるのは裁判官。検察官と裁判官とで事件に対する見方が大きく違うこともあるのですね。
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by yoridocoro | 2011-10-13 00:16 | 法律雑学