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- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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前科について

「あの人には前科がある」などと言います。
前科についてみてみます。

前科。広辞苑第六版では「以前に法を犯して刑罰を受けていること。」
前科がいつ消えるかは、状況により異なります。

刑の言渡しは、所定の期間の経過で効力を失います。(禁錮以上の刑については執行後10年、など。刑法34条の2.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html
その場合、
「刑の言渡しに伴って課されていた種々の資格制限は当然に解除される」。
(冨永康雄『四訂版 前科登録と犯歴事務』136頁。日本加除出版、2012.)

例えば「禁錮以上の刑に処せられた者…は…弁護士となる資格を有しない。」(弁護士法7条.)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO205.html
前科があることにより、資格の欠格事由該当に(なるための前提を欠いている)になったとしても、それはずっと続くわけではないのです。

刑の言渡しは、「刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したとき」も効力を失います。(刑法27条.)
その場合、欠格条項に掲げる「刑に処せられた」場合に該当しない旨示すものとして、税理士法基本通達4-1があります。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/zeirishi/02.htm


一方、裁判実務上で見ると、前科は「有罪の確定裁判を受けた事実」のことです。
過去の事実ですから、年月の経過でその事実が消えるわけではありません。

判例は、
『刑法三四条ノ二に「刑ノ言渡ハ其効力ヲ失フ」とあるのは…刑の言渡を受けたという既往の事実そのもの…まで全くなくなるという意味ではない。』と述べて、その事実を量刑上参酌することは差し支えない旨判示しています。(昭和29.3.11最高裁判決.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55684&hanreiKbn=02

また、検察事務官作成の「前科調書」が「特定の者が有罪の裁判を受けこれが確定した事実を明らかにする書面」である旨示すものとして、犯歴事務規程(法務省訓令)13条2項があります。 http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji21.html

犯歴の抹消は、「有罪の裁判を受けた者が死亡したことを知ったとき」になされるようです。(犯歴事務規程18条.)
こちらでいう「前科」は、その人が生きている間は続くということになります。


参考資料として。
前科やそれに伴う制約等について、web「薬物事件で有罪判決を受けた人へ」(弁護士 小森榮)を読みました。
http://www2u.biglobe.ne.jp/%257eskomori/law/zenka2.pdf

 
by yoridocoro | 2014-04-18 06:49 | 法律雑学
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