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- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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昔の条文を参照する

いまの六法には載っていない、古い条文を参照したくなることがあります。
例えば、犯罪に対する刑罰の定めであり、かつ公訴時効期間の算出の基となる法定刑は、原則、犯行時のルールにより定まりますから、当時のものを確認しなくてはなりません。
当時から現在までの間に条文の改正がなされていれば、現在出回っている六法全書を見ても知りたい内容は判りませんから、当時の条文を参照する必要があります。

古い六法があるなら、それを見るのもいい方法です。
でも。それがないとしたら、どう調べればいいでしょうか。
そう、web上でも調べることが可能です。

改正は、何かを何かに改めたわけですから、改める前はどうだったのかを探しに行きます。

まず、紙の六法を見て改正経過を確認します。
基本法については、条文ごとに、改正があったことが示されていますね。
例えば、刑法220条(逮捕及び監禁)であれば、条文の後ろの括弧書きに
「平一七法六六本条改正」などと記載があります。
この刑法220条は、「平成17年法律第66号」によって改正されていますよ、ということです。

次に、Wikipediaの「国会 (日本)」の国会回次一覧を見ます。
http://bit.ly/rgRZoV
(リンクが表示されたら、右のスクロールバーを使いましょう)
ここで、平成17年に成立・公布された法律なら第162回国会又は第163回国会で成立したんだな、と目星がつきます。

そうしたら、衆議院ホームページの「制定法律」を見ます。
http://bit.ly/hNtHaK
「162回(常会)」のところをクリックすると、制定法律の一覧として番号や法律名が出てきます。
法律番号は、上記のとおり66号なので、その数字のところを見ます。
すると「刑法等の一部を改正する法律」とあり、その右にある「本文」をクリックすれば、改正の内容が出てくるわけです。

この「刑法等の一部を改正する法律」の第1条には
「刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。」
「第二百二十条中「五年」を「七年」に改める。」
とあるので、
刑法220条は、
 改正前「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。」が
 改正後「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」に
改められたことが判ります。

これで、平成17年法律第66号による改正前の(=平成17年7月11日までの)刑法220条の条文が判明しました。

 
by yoridocoro | 2011-02-25 22:04 | 法律雑学
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