- 法律雑学 - ものごとの根拠を探ります.                   (やっしー)
by yoridocoro
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19歳で選挙権

年齢計算の話をもう少ししてみます。

先に、忙しい人のための要点。
・選挙の投票日の翌日が20歳の誕生日であるとき、投票する「時点」で19歳のその人にも選挙権がある。
・それは、「日」単位で見れば、20歳の誕生日前日が「20歳に達する日」であり、選挙権取得の日となるから。

---
5/5の記事でも書きましたが、
【人が20歳になるのは、生まれてから20年後の誕生日の前日の終了(午後12時)をもって】
です。
20回目の誕生日前日の午後8時の時点だったら、まだ19歳ということになります。

でも。選挙については、20回目の誕生日前日に行われる選挙では投票ができます。
例えば、平成21年7月12日投票の東京都議会議員選挙では、年齢要件が
「平成元年7月13日までに生まれた方」
となっています。
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/koho/2009/20090621/p3.htm
(三鷹市ホームページ)

投票時点ではまだ19歳なのに、なぜ選挙権があるのでしょうか。
それは、人が20歳になるタイミングの、
【生まれてから20年後の誕生日の前日の終了(午後12時)をもって】が、「日」を単位とする場合には
【生まれてから20年後の誕生日の前日】
となるからです。
タイミングが別なところにスライドしているわけではなく、何の単位で見るのかという視点が変わることで、評価・判断が変わるということです。


判例ではこう言っています。(適宜省略したところは「......」で示します)

「年令の計算については......一般的には満20年の始期については出生の日を一日として計算し、終期は20年後の出生の日に応当する日の前日の終了(正確には午后12時の満了)をいうのであるが、
......公職選挙法10条2項において、年令は選挙の「期日」により算定すると規定されており、この被選挙権に関する規定は選挙権についても類推適用される」
「公職選挙法9条2項の「年令満20年以上」とは、選挙権取得の始期を定めるものであり、「満20年に達した時」または 「満20年を超えるとき」と異なり、満20年に達する日をもって選挙権取得の始期と定めた趣旨であるとみられるから、満20年に達する前示出生応当日の前日の午後12時を含む同日午前0時以降の全部が右選挙権取得の日に当るものと解することができる。」
「昭和34年4月9日に出生した者は20年後の出生応当日の前日、すなわち昭和54年4月8日の終了を待たないで、同日の始時から選挙権を取得する」
(昭和54年11月22日大阪高裁判決.)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=22352&hanreiKbn=03

実は、総務省や各自治体のウェブページでは
「20年目の誕生日の前日の午前0時から満20歳とされます。」という説明文が多いのですが、
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo02.html#chapter1 など)
これは
「(選挙権をもつために備えていなければならない条件の解釈としては)」とか
「(公職選挙法9条2項における「満20年以上」の解釈としては)」を補わないと誤解を招きそうです。
ネットの中には、選挙に関係なく『誕生日の前日の0時になった瞬間に満年齢が増える』と書いている例もありますが、それは行き過ぎで、誤解です。

もういちど上記の判例を見てみます。裁判所としては
・公職選挙法は、
 「満20年に達した時」と異なり、
 「満20年に達する日」をもって選挙権取得の始まりと定めたのだ、
と言っているわけです。
 満20年に達する時とは20年目の誕生日前日の午後12時が原則。そのルールは重々わかっているけれども、選挙の年齢については、その誕生日前日午後12時ルールは使わないで、「日」を単位とする計算をするのだ、と。

となれば、必要な評価・判断は次のようなものになるでしょう。
・選挙権のため年齢を判断する基準は「期日」
・選挙が行われる「期日」が平成21年7月12日のとき、その日に選挙権を取得する者は、「期日」現在で選挙権がある
・平成21年7月12日が「満20年に達する日」である者は、その日に選挙権を取得する
・平成21年7月12日が「満20年に達する日」である者は、平成元年7月13日生まれの者である
(「期日」現在で、平成元年7月13日生まれの者は20歳だし、平成元年7月14日生まれの者はまだ19歳)

「期日」で見るのならば、時間は関係ないですものね。

「時」なのか「日」なのか。何の単位で見るものなのかという視点が大いに大切なのです。
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by yoridocoro | 2009-05-11 02:55 | 法律雑学
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